プッシュ屋稼業 競馬残日録

〜修行編〜 世の中にヘンテコな稼ぎ方は数あれど……

馬は0から4までのキャラを持つ(3)

競馬新聞の馬柱には、出走馬のあらゆる情報が載せられており、様々な切り口で予想を楽しむことができる。それは毎週蓄積される簡易競馬データベースであるが、見ようによっては記号をちりばめた一種の暗号のようでもある。

競馬ファンたちは、馬柱のどこを見ているのだろうか。またその着眼点は、本当に馬券の検討に役立つものだろうか。

 

話は飛ぶが、ソチ冬季五輪で活躍が期待される日本スキージャンプ陣。とくに女子はメダル候補筆頭に挙げられている。皆さんはその舞台となるジャンプ台の形(傾斜、踏切台の角度など)が、会場によって全く違うことをご存じだろうか。そしてそのわずかな違いが選手たちをずいぶん悩ませていることを。

詳細は先日某国営放送で放映していたので割愛するが、おおまかに言うと、地元のジャンプ台での練習で長く体に染みついたタイミング、重力の感じ方などが、本番のジャンプ台では全く異なるので、一足先に現地ソチへ乗り込み、また一から滑り込みをしているという内容だったと思う。これぞアウェイの洗礼というべきだろうか。

 

このジャンプ競技に例えれば、私は、競争馬たちも毎回同じことを感じているのではないかと思っている。つまり競馬の 舞台設定こそ、オレたちの走りを左右するんだ ヒヒンと。

「今日はいつもと違う方向へ回転するなぁ」

「コーナーの角度がきついよぉ」

「まだゴーサインが出ないの?助走が長いなぁ」なんて感じに。

そしてこれらの感覚を、馬が自分に合っていると思えば気分よく力が発揮でき、逆に苦に感じてしまうと力を発揮できないのではないかと。

 

馬柱には、それぞれ

「いつもと違う方向へ回る」 → 利き足が左右どちらか → 右回り・左回り

「コーナーの角度がきつい」 → 走りづらい or かえって折り合いがつく → 競馬場の形(小回り・大回り)

「まだゴーサインが出ない。助走が長い」 → スタミナの有無 or 気性の良さ → 距離適性

の成績が掲載されている。

 

私は、馬もアスリートである以上、キャラの分類にはこれを用いたらよいと思う。

つまり競争馬のキャラを

「回り別」

「競馬場別」

「距離別」

この3つの成績で分類しようと。

 

 

余談だが「斤量は考慮しないのか」というご意見にお答えしておく。

世に広まる馬券法の中には「負担重量による補正」や「1キロ1馬身」といった考え方があることは私も承知している。そして以前(20年以上前)は私も斤量を予想ファクターの1つに取り入れていた人間である。

しかし、現在私の頭の中には「強い馬ほど重い斤量を背負う」という、これまた競馬発祥以来の基本概念の方がしっくりきている。最近はJRAのハンディキャッパーの優秀さがよく知られており、ハンデ戦では重い斤量の馬を狙えなど、こちらの概念を用いた予想法も散見される。

よって、例えば58キロ以上などの極端な場合を除いて、斤量というファクターは現在では全く考慮に入れないことにしている。ハンデ戦で実績の低い馬は、ときに50キロ以下の斤量を背負うが、これとてレースでさほどアドバンテージにならない(本当はもっと斤量差がほしい)という関係者の声を目にしたことがある。

それほど斤量というファクターは難しく、未知の領域と言えるかも知れない。

 

 

まとめると、

「回り別」

「競馬場別」

「距離別」の成績

馬柱からこの3点を見るだけで、直接、間接的に、馬のアスリートとしての特徴( 利き足、大跳び、折り合い、スタミナ、気性= 全能力ではない)をつかむ。

それを「キャラ」と呼ぶことにする。よってキャラは最大3つ存在する。

 

次回は、いよいよ実際の成績欄から、馬のキャラ分けの方法をお教えする。