ゴルゴ13の眉も思わずうごめく……?「5555プレゼント」に隠された意図
「……フフン、久しぶりに馬連で遊んじゃおうかな〜? とにかく開催日1日につき、最終の馬連を500円買えばいいんだろ?」
「ええ、競馬場はいくつにまたがってもいいそうです。東京で300円、小倉で200円とか……合計500円で1日分とカウントされます。ただし、あくまでレース数ではなく、期間中購入日数が5日になって、はじめてプレゼントの抽選対象になるそうなので、これはかなり気の長い長期戦ですね」
「しかし、これもおかしいと思わねえか」
「……(また始まった)……なにがですか?」
「また、オレたち馬券オヤジ世代を置いてくかのような、インターネット投票会員を優遇する措置をだなあ……」
「そうかなあ。 確かに6、70代のファンがどのくらいネット投票に移行しているかは疑問だけど、今回は電話投票の人も抽選に含まれていますよ。かなりの割合のファンに恩恵があると思うけど……」
「そこまでいくのにエントリーとか、手間をかけるのがオヤジはイヤなんだって! これならまだハズレ馬券で抽選会でもしてくれた方が、こっちはよっぽど食いつくぜ」
「これからの時代、興行がネットと一線を画して発展していくなんて、あり得ないことですからね。JRAは、藤堂さんたちの世代にもなんとかついてきて欲しいんですよ。だってプレゼントがゴルゴ13グッズですよ?これが若者向きなわけないじゃないですか。……とか何とか言ってる割に、ゴルゴ13には反応したくせに……」
「ば、バカやろう! ゴルゴ13はこの世界の男たちのバイブルだからよ。……よく知ってやがるな、JRAも。裏の世界には金がうなってることを」
「……絶対違うと思いますけど。とにかくこれは、オレたちライトなファン世代を狙ったキャンペーンじゃないことは明らかです!」
「……お前、やけにJRAの肩持つじゃねえか。ひょっとして……」
「いいかげんにしてください!」
「……すると今度のキャンペーンは、一見派手ではあるが、実際は馬券オヤジ世代をターゲットにしたコアな色彩の催しってことか?」
「ええ、ネット会員の減少を食い止めるとか、馬連を買ってほしいとか、そういうもっともらしい狙いじゃない。キーワードを並べれば分かりますよ。『最終』『馬連』『ネット会員』『ゴルゴ13』……どれも平成が始まった頃の……」
「バブルの残像をまだ引きずっていたあの頃、オレたちが夢中になっていた象徴……」
「でしょ? 逆に、これがライト世代に向けたメッセージだとしたら、それはどうかしてますよ。キャンペーンの目指すべき方向としては正反対ですから。そっちのほうが心配になる」
「そうか、若者は最終まで競馬場にいないし、馬券を買ったら次の遊びに出かける。買う馬券も馬連じゃなさそうだ。ゴルゴ13グッズをもらって、どんだけのやつが喜ぶか、考えてみりゃ疑問だらけだな」
「ね、だからこういうキャンペーンに、賛成でも反対でも鋭く反応しちゃう、藤堂さんたちのような元気世代の心を、コチョコチョ刺激してるんですよ」
「……フフ、今回は完敗だ。……だが、馬連は買う!」
「……でしょうね。ホント、素直じゃないんだから……」