プッシュ屋稼業 競馬残日録

〜修行編〜 世の中にヘンテコな稼ぎ方は数あれど……

そしてあの名馬も3型で勝ち4型で敗れた

「話はステイゴールドで最後と言ったが……もう明かしてもいいだろう……この前から話題になっているテイエムオペラオーも、有馬記念初優勝時のキャラは3型だったんだ」

「伝説の4歳時、1年間無敗の大記録がかかった最終戦ですね?」

「ああ、前年の3歳時には3着(キャラは0型)だったから、当然キャラは3型になる。去年の有馬記念のCMにもなったし、お前も少しならレース内容を知ってるだろうが、とにかく絶体絶命の位置取りから馬群のどこをどうやってかいくぐって勝ったのか、当時のオレにはよく見えなかった」

「騎手は『もうだめかも』とあきらめかけたっていう話ですし……」

「事実、あれは差し馬が有馬で負ける典型的なパターンだった。2着のメイショウドトウはホントに不運としかいいようがない」

「これがテイエムオペラオーの全成績ですけど……」

 

1998.8.15 京都 3歳新馬 2着 芝1600m

1999.1.16 京都 4歳未勝利 4着 ダ1400m

         2.6京都4歳未勝利 1着ダ1800m

         2.27 阪神 ゆきやなぎ賞 1着 芝2000m

         3.28 阪神 毎日杯 GIII 1着 芝2000m

         4.18 中山 皐月賞 GI 1着 芝2000m

         6.6 東京 東京優駿 GI 3着 芝2400m

       10.10 京都 京都大賞典 GII 3着 芝2400m

       11.7 京都 菊花賞 GI 2着 芝3000m

       12.4 中山 ステイヤーズS GII 2着 芝3600m

       12.26 中山 有馬記念  GI 3着 芝2500m

2000.2.20 京都 京都記念 GII 1着 芝2200m

         3.19 阪神 阪神大賞典 GII 1着 芝3000m

         4.30 京都 天皇賞(春)GI 1着 芝3200m

         6.25 阪神 宝塚記念 GI 1着 芝2200m

       10.8 京都 京都大賞典 GII 1着 芝2400m

       10.29 東京 天皇賞(秋)GI 1着 芝2000m

       11.26 東京 ジャパンC GI 1着 芝2400m

       12.24 中山 有馬記念 GI 1着 芝2500m

2001.4.1 阪神 大阪杯 GII 4着 芝2000m

         4.29 京都 天皇賞(春) GI 1着 芝3200m

         6.24 阪神 宝塚記念 GI 2着 芝2200m

       10.7 京都 京都大賞典 GII 1着 芝2400m

       10.28 東京 天皇賞(秋) GI 2着 芝2000m

       11.25 東京 ジャパンC GI 2着 芝2400m

       12.23 中山 有馬記念 GI 5着 芝2500m

 

「見ての通り、奇跡的な快挙達成の後、オペラオーはG1で2着が多くなる。勝ったのは3200Mの天皇賞春だけ。……これが彼が持つ真の適性だろうと思うんだが……あとは勝てなかった」

「なるほど、それが強さが薄れてきて適性が顔を覗かせた瞬間なんですね。でも1着と2着が同じくらい価値があり、また消耗するという藤堂説によれば、オペラオー自身にはその後も勝とうという気力はあった気がするんですけど」

「その通り。勝てないまでも彼は己の死力を尽くして戦った。だからG1で2着になり続けた。そして最後の有馬記念を迎え……おい、キャラはどう変わる?」

「……そっか、3型で勝ったんだから、翌年は4型になるのか……」

「メンバー次第だが、やはり4型では重馬場など彼向きの条件が揃わないと、G1を勝つのは難しい。最後、彼は負けるべくして負けていったのさ。ちなみにその年の1、2着馬は、マンハッタンカフェアメリカンボスで、どちらもキャラは0型だった……」

「変わり身の大きい0型には、かなわなかったのかなぁ……」